1-10 建築士事務所の廃業方法とは?個人事業主からの法人化でも必要

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建築士事務所の廃業方法は、建築士法で定められた手続きです。設計事務所として営業を継続する場合でも、個人事業主が法人化する場合、二級建築士事務所から一級建築士事務所に変更する場合、都道府県をまたぐ移転をする場合などで必要になる手続きです。

この記事では、建築士事務所の廃業手続きや廃業届の記入例・サンプル、個人事業主からの法人化などの廃業届が必要となるケース紹介しています。個人事業主から法人化の手続きは、1-5 法人の建築士事務所登録とは?必要書類、法人登記から紹介で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。

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建築士事務所の廃業手続きとは?

建築士事務所の廃業手続きは、都道府県の建築士事務所協会が窓口となります。指定された廃業届(建築士事務所廃業等届)のフォーマットに記入して提出することで、設計事務所の廃業は認められます。

建築士事務所廃業等届は、廃業事項に該当することになってから30日以内に提出する必要があります。廃業届とともに提出する書類は事由によって異なるので、次の項にて紹介します。

建築士事務所の廃業手続きが必要となるケースとは?

建築士事務所の廃業手続きが必要となる場合は、どのような場合でしょうか?よくあるケースと届出者、提出書類について紹介します。
開業者が亡くなってしまった場合など、建築士事務所の状況や手続きが不明な場合では、手続きの代行を行政書士事務所に依頼することもできます。詳しくは、1-7 建築士事務所登録の手続き代行方法とは?行政書士への相談・依頼の料金の相場とは?をご覧ください。

該当者事項 届出者 提出事項
①建築士事務所の開設者が、その業務を廃止したとき 開設者であった者 登録通知書原本返納
②建築士事務所の開設者(個人の場合)が死亡したとき 相続人 登録通知書原本返納、死亡を証明する戸籍謄本、相続人との関係を証する戸籍謄本
③建築士事務所の開設者(法人を含む)が破産をしたとき 破産管財人 登録通知書原本返納、破産決定書の写し、破産管財人の印鑑証明書
④法人が合併により解散したとき 役員であった者 登録通知書原本返納、閉鎖事項全部証明書(解散の事実がわかるもの)
⑤法人が合併又は破産以外の理由により解散したとき 清算人 登録通知書原本返納、履歴事項全部証明書(解散の事実がわかるもの)
⑥法人が清算結了により消滅したとき 役員であった者 登録通知書原本返納、閉鎖事項全部証明書(清算の事実がわかるもの)

⑦建築士事務所の登録の区分を変更するとき
(個人⇔法人、一級⇔二級⇔木造)

開設者 登録通知書原本返納

出典:東京都建築士事務所協会「建築士事務所登録と変更等の手引き」p15、福井県ホームページより、設計事務所経営ナビ作成

建築士事務所の廃業手続き完了後も、建築士法24条の4で定められている、建築士事務所の帳簿(年次業務報告書の記載内容)や設計図書(構造計算書)については、15年間の保存義務がありますので注意しましょう。

設計事務所を継続する場合でも、廃業手続きが必要となるケース

建築士事務所の廃業手続きは、設計事務所として事業を継続する場合も必要となるケースがあります。代表的なケースを紹介します。

個人事業主から法人化する場合

個人事業主から法人化する場合、個人事業主としての建築士事務所の廃業手続きと、新たに設立した法人の建築士事務所の開設手続きが必要となります。

法人化にともなう、法人登記やオフィスの賃貸借契約の名義変更なども必要となります。詳しくは、1-5 法人の建築士事務所登録とは?必要書類、法人登記から紹介をあわせてご覧ください。

なお、法人として営業していた設計事務所を個人事業主に戻す場合でも、同様の手続きが必要となります。

二級建築士事務所から一級建築士事務所になる場合

二級建築士事務所として独立し、一級建築士試験に合格してから一級建築士事務所に変更する場合など、建築士事務所の種類(一級・二級・木造)が変更になったときも、廃業届の提出が必要となります。

このケースでは、建築士事務所登録・廃業のみの手続きになりますので、比較的簡単に手続きを完了させることができます。

所在地が都道府県をまたぐ移転をする場合

建築士事務所の所在地が、都道府県をまたぐような移転をする場合は、建築士事務所の廃業手続きが必要となります。

廃業手続きはこれまで登録していた都道府県に、移転後の開設手続きは移転後の都道府県にそれぞれ提出する必要があります。

建築士事務所廃業等届のサンプル・フォーマット

建築士事務所の廃業届のフォーマットは、都道府県の建築士事務所協会のホームページなどからダウンロードすることができます。word、Excel、pdf形式でダウンロードして記入する事ができます。

建築士事務所の廃業届のフォーマット
建築士事務所の廃業届のフォーマット

建築士事務所の廃業手続きのポイント

建築士事務所の廃業届は、都道府県をまたぐ移転や個人事業主の法人化などでも必要となる手続きです。

建築士事務所の廃業手続きに関するポイントは下記の通りです。

  • 建築士事務所の廃業手続きは、30日以内に提出する必要がある
  • 個人事業主からの法人化でも、廃業手続きが必要となる
  • 二級から一級建築士事務所への変更も、廃業手続きが必要となる
  • 都道府県をまたぐ移転の場合も、廃業手続きが必要となる
  • 建築士事務所の帳簿や設計図書は、作成から15年間の保存義務がある

設計事務所経営ナビでは、建築士の独立に必要な知識や、設計事務所の経営や会社運営に役立つ情報を提供しています。ぜひ、関連記事もあわせてご覧ください。

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