1-9 管理建築士の変更手続きとは?退職等で必要な建築士事務所登録事項変更届

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設計事務所の管理建築士に退職や交代等が発生した場合、建築士事務所登録事項変更届を14日以内に提出する必要があります。

管理建築士の交代以外でも、オフィスの移転、社名変更、役員の交代、所属建築士の入退社など、登録内容に変更が起きた場合は、建築士事務所の登録事項変更届の提出が必要となります。

この記事では、管理建築士の退職にともなう建築士事務所の変更届の手続きについてや、変更届のフォーマットや記入例、必要な書類などを紹介します。

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管理建築士の変更手続きとは?

建築士事務所は、専任の管理建築士を任命する必要があります。管理建築士が不在となった建築士事務所は廃業となってしまいますので、速やかに代わりの管理建築士を任命し、登録事項の変更を届け出る必要があります。

管理建築士の変更をはじめとして、建築士事務所の登録事項に変更があった場合は、14日以内に建築士事務所登録事項変更届を提出する必要があります。

建築士事務所の登録事項変更届の提出先は、都道府県の建築士事務所協会(福岡県、福井県、香川県を除く)が窓口となっています。

管理建築士の変更が発生する場合は?退職や交代による手続き

管理建築士の変更は、建築士事務所の登録事項変更の手続きのなかで、最も複雑で、かつ多くの提出資料を用意する必要があります。

管理建築士の変更に伴う、必要書類のリストと各書類の概要を下記の表にまとめました。

管理建築士の変更にともなう必要書類のリスト

必要書類備考
建築士事務所登録事項変更届指定の様式に記入
所属建築士名簿管理建築士を筆頭に、所属建築士全員を記入
所属建築士変更事項一覧表管理建築士が退職する場合などに必要
略歴書(管理建築士)指定の様式にて、対象者の建築士の種類・登録番号、
学歴・職歴などを記入
住民票(管理建築士)3ヶ月以内発行のもの。個人番号記載なしのものを提出
建築士免許証の写し
前職場の退職証明雇用保険の資格喪失届、離職票、
健康保険資格喪失届などでも代用可
専任証明
管理建築士講習修了証の写し

個別の書類については、建築士事務所登録時と共通するものがほとんどですので、建築士事務所登録についての解説記事 1-5 法人の建築士事務所登録とは?必要書類、法人登記から紹介 をあわせてご覧いただけると詳細を把握しやすくなっています。また、個人事業主として設計事務所を営む方は書類の提出内容が異なりますので、1-6 個人事業主の建築士事務所登録とは?必要書類、開業届から紹介 をご覧ください。

管理建築士の交代が必要となるケースとは?

管理建築士の交代は、どのような時に発生するのでしょうか?管理建築士が退職がきっかけとなるケースだけでなく、専任義務を全うできなくなる事情が発生し、交代が必要になる場合もあります。

管理建築士が交代となる、よくあるケースを紹介します。

  • 共同創業者など、法人の役員の任期満了、辞任
  • 雇用契約のスタッフの退職
  • 管理建築士が専任義務を果たせなくなる場合
  • 育児休暇や産前産後休暇による休業
  • 複数の支店を有する会社で、異動となる場合
  • 創業者兼管理建築士の退任や事業承継

育児休業と管理建築士の専任義務については、都道府県によって見解が異なります。管理建築士の専任義務については、1-3 管理建築士の責任は?建築士法の法的責任・リスク・罰則・処分事例や専任違反を紹介 に掲載しています。あわせてご覧ください。

管理建築士講習の受講修了者が複数人在籍している状態にしよう

建築士事務所は、管理建築士が不在になると廃業となってしまいます。管理建築士の責任は重く、資格要件を満たす方を採用するのが難しいため、小さな設計事務所での管理建築士の募集をかけるよりも、社内に管理建築士になれるメンバーを増やしていくことをおすすめします。

一般的に設計事務所に所属する建築士は、管理建築士に必要な建築士としての3年の実務経験を有していても、管理建築士講習を受講していない人がほとんどです。

管理建築士の変更手続きに必要な管理建築士講習の修了証の写しは、発行までに時間がかかります。管理建築士講習の開催頻度の少ない地域では受講までに時間がかかりますし、修了証の発行も1ヵ月程度要するとされる場合が多いためです。

そのため、事前に対象者に管理建築士講習を受講して貰うとよいでしょう。管理建築士講習の受講資格や修了証の発行期間については、1-2 管理建築士講習の受講方法とは?合格率、開催日程・料金・業務経歴書証明書の記入方法を紹介 をご覧ください。

管理建築士の変更以外で発生する建築士事務所の変更手続き

管理建築士の変更以外でも、建築士事務所や所属建築士の登録内容に変更が発生した場合、建築士事務所登録事項変更届を提出する必要があります。

登録事項変更の届出は、オフィスの移転や社名変更、管理建築士でない代表者や役員の変更も対象となります。提出期限は、管理建築士の変更と同様に14日以内とされています。

所属建築士の入退社も変更届の対象となります。スタッフの入退社については、届出の頻度も考慮してか、変更があってから3ヶ月以内の届け出とされています。

設計事務所のスタッフの退職手続きについては、社会保険等の手続きなども含め、9-13 退職時の手続きとは?雇用保険・年金・健康保険の手続きまとめ-設計事務所の労務(10) に詳細をまとめてあります。あわせてご覧ください。

建築士事務所の登録事項変更届が必要となるケース毎に、必要となる書類・提出期限を下記の表にまとめました。

管理建築士以外の変更内容と必要書類のリスト

 

届出期限

変更届

所属建築士名簿

所属建築士
変更事項
一覧表

役員名簿

役員変更
事項
一覧表

略歴書 誓約書

履歴事項
全部証明書

賃貸借
契約書

建築士事務所の移転 14日以内            
社名変更 14日以内              
代表者変更 14日以内        
役員就任 14日以内        
役員退任 14日以内            
所属建築士の入退社 3ヶ月以内            

管理建築士の変更や建築士事務所登録事項変更届作成のポイントは?

建築士事務所の登録事項変更届は、変更が発生してから14日以内に届出を行う必要があります。変更が発生するケースと、変更が発生したときに必要な手続きを予め把握した上で、着実に手続きを進めましょう。

管理建築士の変更や建築士事務所の登録事項変更届に関するポイントは下記の通りです。

  • 建築士事務所変更手続きは14日以内に提出が必要
  • 管理建築士の変更は、建築士事務所登録事項変更届のなかでも手続きが大変
  • 管理建築士が不在となると建築士事務所は廃業になってしまう
  • 所属建築士の入退社でも変更届が必要。提出は3ヶ月以内

設計事務所経営ナビでは、建築士の独立に必要な知識や、設計事務所の経営や会社運営に役立つ情報を提供しています。ぜひ、関連記事もあわせてご覧ください。

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